マッキントッシュ MC2102 オーナーT様からのお手紙

マッキントッシュ MC2102 オーナーT様からのお手紙

こんにちは、真空管専門店 ヴィンテージサウンド 代表の佐々木です。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

タイトルのMC2102は、説明不要のマッキントッシュの管球アンプの中でも、パワー管8本構成という超ハイパワーの回路設計で、「いつかはMC2102」という、憧れの1台です。

MC2102

画像のように、フォルムも美しく、これでもかという存在感のKT88がズラリと並んでいます。

どうですか。この美しさ。

私なら、とっておきのヴィンテージの赤ワインを空けて、真空管に火を入れた状態で、何時間でも眺めていられます!

ここで、MC2102の仕様を紹介しますと、つぎの通りです。

使用真空管 入力・位相反転用12AX7×4、電圧増幅用12AT7×4、出力用KT88×8

定格出力 ステレオ100W+100W(2/4/8Ω)、モノパラレル200W(1/2/4Ω)、モノブリッジ200W(4/8/16Ω)

全高調波歪率 0.5%以下

入力感度/入力インピーダンス バランス5V/40kΩ、アンバランス2.5V/20kΩ

スピーカー出力 1系統×3(2Ω用×1.4Ω用×1.8Ω用×1)

入力端子 RCA×1系統、XLR×1系統

消費電力 390W

最大外形寸法 W445×H257×D432mm

質量 40.0kg

マッキントッシュ公式HPより引用

デフォルトで実装されている真空管「12AX7×4、12AT7×4、KT88×8」は、美しい金色のマッキントッシュロゴがプリントされている純正管ですが、KT88には、ロシアのエレクトロハーモニクス、12AX7および12AT7には、中国製がそれぞれ採用されております。

いったい、日本全国には、MC2102のオーナー様が何名くらいいらっしゃるのでしょうか。

その中のお一人が、愛知県のT様で、2010年5月にいただいた1本のお電話から、真空管を通して、大変お世話になっているお客様です。

そのお電話の内容とは、8本のKT88のうち、1本が損傷したということでした。

そこで、私は、緊急措置として、残り7本を弊社に送付いただき、測定した上で、特性がマッチするKT88 2本マッチを購入いただくという案をご呈示させていただきました。

真空管交換方法としては、全交換、一部交換がありますが、一部交換する場合には、旧管と新管との特性を合わせる必要があるため、一旦送付いただき、測定するという方法が採られます。

数日後、T様から7本セットの純正管KT88が到着しましたので、中身を確認すると、エレクトロハーモニクスでしたので、特性が合ったエレハモKT88 2本マッチをセレクトして、T様に発送させていただき、無事音が出るようになりました。

ここで、マッキントッシュ MC275の復刻品に実装されている純正管KT88には、Svetlana Cロゴが採用されています。

一連のやりとりの中で、T様には、真空管の最適化で、サウンドが改善できる旨のご説明を申し上げ、特に、マッキントッシュの純正プリ管が、中国製のため、別のブランドに交換することでその効果を実感できることもご案内させていただきました。

それから、まもなくして、T様より、プリ管交換のご依頼があり、現状のサウンド傾向、理想サウンド、お聞きになるソース等の情報を十分に伺った上で、私のほうで、つぎのプリ管をお奨めさせていただき、交換していただきました。

12AX7 Mullard 4本マッチ 中ゲイン 真空管PX12

12AT7/ECC81 JJゴールド 4本マッチ 中ゲイン 真空管PG12

その後、パワー管についても、ご希望を伺った上で、つぎのパワー管をお奨めさせていただき、2010年11月に交換していただきました。

6550 TUNG-SOL 8本マッチ 真空管HX29

つまり、T様は、昨年5月から11月にかけて、MC2102の真空管を全交換されて、グレードアップを図られました。

どのようなサウンドとしてT様がお感じになられるのか、半分怖く、半分楽しみにしておりましたが、新年1月5日にT様より、試聴のレポートを頂戴いたしました。

T様の音楽を愛する心が伝わってくる文章に、正直、感動しました。

真空管交換のお手伝いをさせていただき、本当に良かった」

という気持ちがわき上がってくるとともに、非常に気持ちのよい新年のスタートを切ることができました。

それでは、T様からのご了解をいただいておりますので、全文をご紹介いたします。

From: *******

To: "真空管専門店のヴィンテージサウンド" Sent: Wednesday, January 05, 2011 9:36 PM

Subject: 御礼

佐々木様

明けましておめでとうございます。

旧年中は先に購入したプリ管において、通常の店では考えられない

ほど親身になってサポートいただき、本当にありがとうございました。

ようやくこの正月休みに、パワー管(6550 TUNG-SOL)を

心ゆくまで堪能し、何度も純正管と聴き比べてみることが

出来ました。

今回聴き比べてみてわかったMcIntosh純正管の特徴ですが、

よく言えば音が端整、悪く言えば、硬質なガラスのような、

呼吸していない、弾力性のない硬い音、なんですね。

以前プリ管をMullard12AX7x4+ECC81ゴールドJJx4に

交換した時にも同じようなことを感じたのですが、

あの時は、明らかに違うランクのアンプが鳴っていると

思うくらい音が変わり過ぎて、そこまで冷静に分析

出来ていませんでした。笑

今回のパワー管を交換して最初に聴き始めた感じは、

あれ?どっちもいいな、が正直な感想でした。

ところが、腰を据えてじっくり聴き始めてみると、

すぐ、違いに気づかされました。

これまで感じられなかったピアノのタッチのやわらかさ、

魅き込まれるようなppの弦のメロディ、

フルオーケストラのffの温かい響き、これまで以上に

感じられるようになったボーカルの息遣い、ホールの

空気感等々。その実態は、まさに上質な味わいの宝庫で、

これが同じシステムで鳴るものか、とシビれました。

それにしても、オーディオはある程度以上いくと

コストパフォーマンスが極めて悪くなっていくという

認識を持っているのですが、

オーディオ趣味を持っていない普通の方にはわかって

もらえない、この質感の違いを追い求めるのが、

オーディオ趣味の真骨頂だとすれば、真空管への投資

って、コストパフォーマンス的にも最高ですね。笑

管球アンプにあこがれてこのアンプを買った時に感じた

失望感、曰く「極めて端整できれいな音なんだけど、

普通のいいアンプとどこが違う?」から始まり、

ケーブルとか他の機器を変えてみて、あれこれ模索した日々。

それがプリ、パワー共に球を変えたら、こんなにシステムの

レベルが変わるなんて、未だに信じられません。

とは言え、最初に球交換してたらそこで満足してしまい、

このレベルに達しなかったかもしれませんので(笑)、

これで良かったのでしょう。

佐々木さんのお見立てを信じて、大正解でした。

本当にありがとうございました。

それでは、今年もたくさんの幸運に恵まれた年になります

ことを祈念いたしております。

追記

よく評論家が最近のMcIntoshの真空管アンプの音は

真空管を感じさせない」と書いてたりしますが、

真空管アンプの評価って、本当に難しいですね。

単に昔の真空管がいいものだっただけでは?

と疑ってしまいます。笑

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この場を借りて、「T様 本当にありがとうございました。」

感謝、感謝、です。

2011.1.8                       

Good music !

(c) 2011 VINTAGE SOUND

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